うさぎさんうさうさ
(文)藤継臣 (絵)怠
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雲はうろこのように連なり浮かび、葉は段々と紅く黄色く染まり――。
夏の暑さも段々と和らいで、涼しい風が吹き始める。幻想郷に、秋が顔を覗かせ始めていた。
遥か高くに空の青が見える、そんな日の昼下がり。
私は毎日のように神社の境内を掃除していた。落ち葉は掃いても掃いても減る気がしない。
もちろん気のせいなのだけど、明日になればまた葉は落ちている。毎日ともなれば流石に面倒だわ。
萃香にでも手伝ってもらって集めた方が早いか、などと考えていると、誰かが向かってくる気配。すぐに誰か分かって小さく溜め息を吐いた。
程なくして、ほぼ毎日顔を合わせる悪友とも言える友人が、境内に颯爽と降り立つ。
相変わらずのスピードだ。幻想郷でもかなりのスピードを誇る彼女ではあるけれど、もう少しゆっくり来てもいいものを……。
まぁ、今日は集めた落ち葉を撒き散らさなかっただけよしとしよう。
彼女がまだ掃いていない葉を踏んだのか、小気味のいい音が耳に響いた。
小走りにこちらへ向かってくる、にこにこと笑っている黒白魔法使いに声をかけようとした瞬間だった。
「霊夢ー、宴会しようぜ」
ここへ来ての、友人の開口一番の言葉に、眉間に皺が寄った。
◆
迂曲の末無事原稿を完成させた藤継臣は、タイトルについて悩みこんでいた。
つぐおみ「おいィ? タイトルが決まらないんだが?」
あか。「うさぎさんうさうさ」
つぐおみ「ほう。タイトルセンスすごいですね」
あか。「それほどでもない」
こうして原稿タイトルは決定された。
主催は最強だと思った(リアル話)
巫女と人形遣いの関係性を、客観的視点から探る研究レポート
(文)電気羊 (絵)暁リト
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『巫女と人形遣いの関係性を、客観的視点から探る研究レポート』
この二人というのは、仲が良い二人として真っ先に上がることはない。
第一に、博麗霊夢といえば誰しもに公平に接することがその人物像の特徴として真っ先に挙がる女だ。
妖怪に対しても人間に対しても、また力の大小に関わらず変わらない態度で接するのは、幻想郷の秩序を取りまとめる博麗の巫女は常に兼ね備えている資質なのかと推測していたのだが、先代やその前の博麗の巫女を知る妖怪たちからしても、彼女というのは異質な存在らしい。
単にめんどくさがりで婆臭いんじゃないかという疑念がよぎるが、そこには深く触れないこととする。
しかしそんな博麗霊夢であっても、彼女と仲が良い人物といえばまず真っ先に霧雨魔理沙や、八雲紫の存在が頭に浮かぶのではないだろうか?
単純に、訪問する頻度が高いだけとも言えるが。またそうでなくとも、境内に訪れる人物は非常に多岐に渡る。それらについてはここでは省略することとする。
博麗霊夢にとって、訪問回数もそこまで多くないアリス・マーガトロイドは、占める割合がさほど大きくはないのではないか、という仮説を提唱するだけに留めたい。
さて、次はアリス・マーガトロイドについての考察である。
彼女もまた、特別に親しい者を作らずに、けれども人付き合いが悪いわけでもないごく一般的な魔法使いである。
料理がそれなり以上にできる。会話を振るのも人並み以上。前に出るタイプではないけれど、裏方を積極的に引き受ける縁の下の力持ち。
宴会などでは彼女が居るのと居ないのでは、準備から後片付けまで能率に二割程度の差があるとされている。(私調べ)
しかしやはり彼女にとっても、博麗霊夢の存在はそれほど大きくないと思われる。
というのも、自立人形を作るという大きな目標を常に第一に置いている彼女にとっては、個人的な人間関係を重視するということは滅多にない。
ただし変に世話焼きなところがあるから、顔を突っ込んでくるような、実に青い性格の持ち主だ。
◆
速筆かつぶっ飛んだ発想やベターなシチュエーションを上手く料理することで読者を魅了する創想話作家。電気羊。
そんな彼が合同参加を表明したことにより、合同主催のあか。は戦慄する。
「マジ震えてきやがった……怖いです」
誰よりも早く合同原稿を提出した電気羊は、今日も生暖かく主催を見守っている。
本編は霊夢とアリスの二人をを見守る魔理沙の視点から、レポート形式で綴っていく、新しい切り口で描かれたお話です。
The rainbow loves butterfiy
(文)kyouha (絵)藤継臣
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幻想郷の夜。
梟すら鳴かない静寂に包まれた、魔法の森。その中に建つ、まだ新しい西洋風の家には、未だ灯りが灯っていた。
「ついに明日で一周年なのね」
明日は、傍から見れば只の平日でしかないのだが、アリスにとっては違っていた。
「私と霊夢が付き合ってから一年かぁ……長いようで短かったわね」
そう、明日はアリスと霊夢が互いに想いを告げ、恋人としてスタートしてから丁度一年の日。
生きる道を、見えるものを、考えることを百八十度変えられた日。
「霊夢も明日が一周年記念日だってこと、きっと覚えているわよね」
眠りにつこうとするものの、眠ろうとすると霊夢の顔が思い浮かんで眠れない。
少しの時間、寝返りを打ったりして眠ることを試みてみるが、それは出来ずに夜は更けていく。
「眠れないって私……重症ね。そこまで霊夢に依存してたなんて」
ぽつりと呟いた言葉は白い天井へと吸い込まれた。ため息を吐いても、まろび出るのは幸福感だけ。
「はぁ……でも、いい加減に寝ないとね。もうすぐ日付が変わっちゃうわ」
目を閉じて睡魔が襲ってくるのを待つが、実際にアリスが眠ることが出来たのはおよそ二時間後のことだった。
―─翌日。
予定通り、アリスは日の出より少し遅く目が覚めた。
今から朝食を食べて、準備を始めれば丁度良い時間になるだろう。
「ついに今日が一周年記念日なのね」
期待で胸が躍るアリスは、晴れやかな気分で準備を整えていく。朝食にはいつも通り、トーストと目玉焼きを食べ、いつもの服に着替える。
そして、歯を磨き、髪の毛を整えネックレスを付ける。半年前の記念日に二人で少し遠方までデートした時、土産物屋で買ったもの。
ピンクのハートのネックレスであり、アリスの一番のお気に入りでもあった。
「それじゃ、行ってきます。留守番よろしくね」
「シャンハァイ」
「ホラァァイ」
◆
創想話ジェネリックで活躍する新星、kyouha
原稿を合同主催であるあか。に渡した彼は、鍵山人形を腕に抱えたまま、ワイングラスをくい、と呷る。
「ああ……次は雛合同だ」
彼はPCの電源をつけ、今日もシューティングの世界へと旅立っていく――
※本編は遠回りですれ違う霊夢とアリスを描いた作品です。レイアリです。
膝枕
(文)ほむら (絵)ima
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「アリス……好き、好きなの……っ!」
真っ赤に染まった頬には、汗が伝っている。
潤んだ瞳で物欲しそうで、せっぱ詰まったような必死な表情は彼女に最も似合わないものだった。
彼女も人間で、どこにでもいる普通の少女だった。
こんな形でそれを思い知らされるなんて。
「ごめんなさい」
一瞬にも永遠にも思える沈黙を、拒否の言葉で破った。
彼女は口を小さく開けたまま微動だにしない。
この思いを、できることなら受け入れてあげたかった。
だけど、ずっとずっと友人として付き合ってきたのに、今更恋愛対象として見ることはできなかった。
「……あ」
放心していた彼女は、今の言葉をようやく飲み込んだようで、先ほどまでの熱に満ちた表情は今や凍り付いていた。
両手をテーブルにつき、体を小刻みに震えさせながら俯いてしまう。
ぽたりぽたりと雫があごに貯まり、落ちる。
彼女はか細い声で、呟いた。
「ごめん…なさい。きらいに、ならないで……きらいにならない…で……」
その一言は、私の心を深く穿った。
木製のチェアから荒々しく立ち上がり、テーブルの向かいにいる彼女のそばまで寄る。
泣きながら懇願し続ける彼女の背を抱きしめて、耳元で優しく言った。
「嫌いになんかならないわ。恋人にはなれないけど、今まで通り友達でいましょう」
「……きもちわる、がらないで おねがい おねがい……いかないでぇ」
「私はここにいるわ。これからもずっと」
「あぁ……ありすぅ」
そう言うことしかできなかった。
その日……私、アリス・マーガトロイドは、博麗霊夢を拒絶した。
◆
日々新しいレイアリのシチュエーションを追い求める変態レイアリスト、ほむら。
彼の繰り出すレイアリは時に残酷であり時にほのぼのであり時に変態的である。
そんな彼が今回書き出したのは、アリスが霊夢を振るところから始まるハートフルボッコラブストーリー。
単調なリズムで描かれる霊夢とアリスの心理描写をお楽しみに!
「悪堕ちにしたくてやった。後悔はしていない」
ウサ
霊夢だって女の子!
(文)喉飴 (絵)ぽし
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「いやー悪いわね、片付け手伝ってもらっちゃって」
「ふん、よく言うわね。どうせ最初から手伝わせるつもりだったくせに」
宴会が終わった後の博麗神社はいつも、どこか寂しく感じるくらいに静かだ。
集まった者は皆騒ぐだけ騒いで、頃合いになると片付けもせずに帰ってしまう。
もっとも、霊夢からすれば酔っぱらいに無理矢理手伝わせたところで、片付け作業がより面倒なことになるであろうと推測は出来る。
ゆえに、帰らずに残っている者が居ても、手伝わせたりしない。ただただ、ため息を零して作業を行うだけだ。
だが今夜は一人だけ、例外が居た。
「はぁ……あんたが笑顔で私の横にずっと座っていた時点で、何か裏があるって気付くべきだったわね」
霊夢は、珍しく宴会に参加したアリスに目を付けた。
アリスは宴会に参加するとき、飲みすぎないタイプだ。それが分かっていた霊夢は、すぐさまアリスの横に座り、
とても良い笑顔をしていた。軽く気持ち悪いくらいの、笑顔だった。顔は明るくても、心の中は「絶対に逃がさん。手伝わせる」と真っ黒である。
そして宴会が終わった後、見事霊夢の思惑通り、アリスは捕まったのだった。
「失礼ね。私はただ、微人のアリスさんと是非とも一緒に居たかっただけよ」
「うん、明らかに今美人の発音がおかしかった。微妙に人ってどんなのよ」
「あんたみたいなのよ。ほら、妖怪らしさがなくて、人間っぽさが微妙にあるようなタイプ」
「褒められているのか貶されているのか……」
「褒めてるわよ、多分。あんた結構良識人だしね」
好戦的な面もあるけれど、霊夢の知る人物の中ではアリスは割と良識人の方だ。自分から騒ぎを起こすことも無いし、
宴会の料理を作るのを自主的に手伝ってくれる数少ないメンバーだ。料理は基本、霊夢と咲夜、そしてアリスというパターンが多い。
妖夢もたまに手伝うが、幽々子の相手をすることで手一杯なことが多い。
さて、と立ち上がる霊夢。
「せっかくだし、中入って飲まない? 良いお酒があるわよ?」
「あんたねぇ……まだ飲むの?」
「手伝ってくれたお礼に、極上のお酒を飲ませてあげる。博麗酒よ」
「何よ、その怪しげなお酒」
「凄いわよ。対妖怪用のお酒。妖怪の類は飲んだだけで気絶。運が悪いと一週間は目覚めないほどよ」
「物騒すぎるでしょ。私、妖怪なんだけど」
「ま、冗談よ。ほら、せっかくだし飲んできなさい。ちゃんとしたもの飲ませるから」
どうやら飲むことは決定事項で、拒否は受け付けないようだ。
アリスはわざとらしくため息を一つ零した後、霊夢の後ろを大人しくついて行った。
どうせ急ぎの用事があるわけでもない。拒否権が存在しないのならば、
覚悟を決めて美味しくお酒を飲んだ方が良い。そう思ったのだ。
◆
創想話、創想話ジェネリックの二つに渡り、和やかな雰囲気やギャグSSで不動の人気を誇る作家、喉飴。
ツイッターに生息しているところをとっ捕まえ、合同主催のあか。は喉飴に原稿用紙を渡す。
あか。「さあ原稿を書くんだ」
喉飴「ぷるぷるぷるぷる」
あか。「しゃぶれよ」
喉飴「ちょ、ま、アッー!」
(実際の交渉とは異なります)
人形遣いの息抜き
(文)夏ミカン@六号機 (絵)森蔵
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ふと目に疲れを感じ、目を少し休ませるために窓の外を眺めてみる。天気は晴れ。今日は日差しが気持ち良さそうね、なんてとりとめもないことを考える。
そういえば、最近は研究に集中していてあまり外出していない。一度集中してしまうと、時間を忘れてしまうのが私の悪い癖だ。
「たまには外に出て、気分転換も必要ね。何処かに出かけてみようかしら」
長い冬も終わり、春を告げる妖精が忙しい時期になったことだし、ちょっと気分転換にでも出かけてみようか。
思い立ったが吉日。昼食を取り、手早く身支度を整えて、愛する上海人形と一緒に家を出た。
春になったからといってもまだ少し肌寒いが、それでも太陽の柔らかい日差しが心地よい。
「上海。今日はいい天気ね」
そう上海人形に声をかけ、頭を優しく撫でてやると、まるで子犬のように嬉しそうにしている。
さて、どこに行こうか。
「そういえば、最近は博麗神社に顔を出してなかったわね」
普段は、必要な物の買い出しであったり、紅魔館の図書館に本を借りに行くなど、何かしらの目的を持って外出するのだが――あいにく今日は何も考えていない。
こういう日には、やはりのんびりできる場所に限る。
私は研究の合間を縫って、よく博麗神社へ遊びに行っていた。「あら、また来たの?」と素っ気無く迎えてくれ、何とも無しにお茶を入れてくれる霊夢。
他愛の無い話をしながら、ノンビリ過ごすのがとても楽しい。霊夢は「私はお茶を飲むのに忙しいのに」なんて毎回毎回皮肉を言いながらも、
良い話し相手になってくれるのだ。魔理沙や他の妖怪たちが来て騒がしくなるのも、たまには良い気分転換にもなる。
「あ。何かお菓子でも作ってくればよかったな……」
何も考えずにふらっと出て来てしまったため、手土産の用意をしていなかった。博麗神社に遊びに行く時は、
いつも手作りのお菓子を作って持って行き、それをお茶請けにして霊夢とお茶を一緒に飲んでいる。遊びに行くようになった頃は、
アップルパイやケーキなどの洋菓子を作って持って行っていたのだが、あまりにも霊夢が和菓子和菓子と言うものだから、
最近では和菓子のレパートリーもかなり増えてしまった。あの巫女の我侭にも困ったものだ。
でも、とても美味しそうに食べている様子を見ると、憎めなくなってしまう。霊夢がお菓子を頬張る様子は、
本当に幸せそうなのだ。幸せそうに食べている霊夢の様子を見ていると、私まで幸せになってしまう。
今回は、人里で霊夢の好きな和菓子を買って行くことで許してもらうことにしよう。こうして、博麗神社へと向かうことを決めた。
◆
ニコニコ生放送主として、創総話作家として、絵師として幅広く活動している男、夏ミカン@六号機。
日常の一コマを様々なジャスティスと共に書き上げた夏ミカンは今日もまた生放送へと繰り出す――
「マスター、レイアリ一つたのむお」
もっと広がれレイアリの輪!
NO NAME
(文)あか。 (絵)居間居km
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名前もないおはなし
「あついー」
大の字に寝そべったまま麦茶を飲もうと霊夢が手を伸ばすと、白い手がそれを払う。
むっとして睨んでみるも、返ってくるのは無機質な表情であった。それは抑揚のない声色で、
「行儀悪い。あとこぼれる」
「……母親役を頼んだ覚えはないんだけど」
「そうね。でも、家政婦を引き受けた覚えもないわ」
「……」
「ほらさっさと起きる」
豊穣の神は小躍りし、本物の月が頬を照らし、山々は紅く染まり始め、実りの匂い立つ季節である。
紛うことなく秋であった。
しかし、夏から秋へと変わる北風が霊夢の頬を冷やすことはない。代わりに、生ぬるい湿潤とした風が首を締め付ける。
雨だ。
雨が降っていた。
びちょりびちょりと土を濡らし、草木の頭を押さえつけるように。
一つ一つの雫はどれも透き通っている。うすらぼんやりとした視界の向こうに、頭を垂れる雑草が見えた。夏の間でかなり伸びきったようだ。
「珍しく掃除をしたらこれだわ。多分私は真面目になってはいけないのね。真面目に働けば天界が怒り竜神の使いが雷を呼び寄せるのよ、きっと」
「詭弁を弄するのはやめ。大体、毎日真面目にしていても秋は天気合いがわからないものなのよ」
「面倒くさいわねえ」
「つかみどころがないの。霊夢と一緒で」
そう発言した無機質な声は、冷え切った水のように霊夢の体を突き刺すよう。
冷たさを保った深い蒼色のビー玉はやけに据わっており、一種の恐怖感さえ湧き上がらせた。
だが、本人には恐怖心を煽ろうと思うことなど小指の爪の皮ほどもない。これが通常の彼女――アリス・マーガトロイドという少女である。
ひとより若干目つきが悪く、無表情なだけだ。その点を除けば、そんじょそこらの妖怪等とかわらないはず。たぶん。
「まあ、長く続くのも考えものね。湿気が多いと本がすぐ駄目になるし、髪の毛も整わないし、洗濯物なんか余計に乾かないし。
……あと、部屋干しって誰が考えたのかしらね。あれ、臭いと湿気で鬱になるわ」
「洗濯物ぐらいうちで干せばいいのに」
「やぁよ」声に抑揚が入る。「何が楽しくて家とここを往復しなきゃならないわけ」
「いいじゃない、飛ぶんだし」
「そういう問題じゃないわよ。第一重い」
「……じゃあここに住めば?」
「は?」
「じょーだん」
「……ああ、そう」
「期待した?」
「ばっかじゃないの」
「ひはひいはひ」
◆
抓った頬から出血、そしてウイルスへの感染……
罪悪感に体を啄ばまれるアリスと、病身でありながらアリスを支え続ける霊夢。
日に日に弱っていく霊夢を見つめて、アリスは霊夢を人形にしてしまえば、また元気な姿を見られるのではないかと気づく。
病気の克服、人間から人形へ、という現実的なテーマをスイーツタッチで描かれた切ナイ恋ノ物語。
※あらすじと本編の関連性はありません。